午後半休

今日はあらかじめ午後半休をとっていた。

午前中のうちに最低限の仕事を済ませ、帰り支度をし、「お先に失礼します」と周りに声をかけ、すみやかに会社を出て、電車に乗る。

 

ただこれだけのことなのに、私は必要以上に思考を巡らせてしまう。

 

まず月曜早々に半休とりやがってと思われていないかという不安。周りが仕事しているなかをすり抜けて颯爽と退勤することへの後ろめたさ。一番声をかけるべき上司は席を外しており、その他座席に残る人たちは正直あまり話したことがない。挨拶して気づかれなかったらどうしよう。

必要以上に思考を巡らせ、そしてしっかりと空回りする私は、コソコソと音も立てずに帰り支度を済ませ、座席から一番近い扉 ではなく、わざわざ離れた扉へ向かってダッシュした。誰にも声をかけられず、かけることもなく。今だけはどうか、誰にも見えない透明人間でありたかった。どうぞ私のことは気にせず、引き続き仕事してくださいませ。

 

エレベーターでビルのエントランスに降りたところで、我に返る。

 

いっぱしの社会人ともあろう者が、ろくに挨拶もせず職場から帰るだなんて。なんて情けないんだ!?

私っていつもこう。いい歳して恥ずかしい。こんな自分が嫌いで泣きそうになるし、こんなしょうもないことで泣きそうになる自分が嫌い。

 

ちょうどそのタイミングで電話をかけてきた恋人に、「私は私が大嫌い!!!」と(これも必要以上に)まくしたて、少しだけ落ち着いたので、駅の改札に向かった。